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【輝く女性ランナー】VOL.8 楠瀬祐子さん⑮

 < 第15話 >

楠瀬祐子<第14話>を読む


年間グランドスラムの第一ラウンドは、第13号で紹介した2014年4月富士山トレーニング2.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像
20日開催のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンであった。マラソンシーズンが一段落つき、ご褒美と思って3月に行ったスノーボードで肉離れをし、レース直前2週間で練習を積め込んだ。一日にスピード練習も含む、7部練をした日もあったという。そんな不安な状態でスタートを切ったが、9時間10分44秒の好タイムで、まず100キロマラソン サブテンを達成した。十分な状態ではなかったものの、それまでに積み重ねた練習と根性と経験によって達成できたのだとホッとしたという。

そして、二種目目の富士登山競走に向けて本格的に練習をスタート。当時の練習について楠瀬はこう語った。

「富士山の山開き前に1人で富士山駅~5合目往復を2回行い、山開き後に山頂まで行こうと試みるも、天候悪化のため5合目・8合目でそれぞれ足止めとなってしまいました。そして、5合目から早歩きで山頂まで1回登頂するなど合計5回登りに行きました。わざわざ富士山まで行かなくても、良い練習はできると言われていましたが、本番に近い練習がしたかったのと、どうしても完走したいという願掛けのような気持ちとで現場での練習にこだわったのです。

富士山トレーニング1_2.jpgのサムネイル画像また、富士登山の練習という位置付けで5月1週目に大山トレラン、2週目に奥武蔵で42キロ、3週目に野辺山ウルトラマラソン100キロ(※第12話で前述しているが6位入賞)を走りました。また休みの日には早朝に富士山駅から五合目まで往復し、都内に戻って加圧トレーニングをし、夕方に織田フィールド(東京都・代々木公園)でペース走をしたり、また別の日には加圧トレーニングをしてから高尾山駅と城山を往復し、夕方から織田フィールドでペース走なんて3部練もしました。」

話を聞いただけで苦しくなってしまうような練習であるが、当時楠瀬が富士山8合目で悪天候のため引き返す前に撮影した画像をFacebookにアップしていたのを思い出した。高い目標を立てるだけではなく、達成するためには悔いが残らないようできることはすべて行うのが楠瀬流なのであろう。彼女はこう付け加えた。

「とにかく、普通以上の練習をしないとダメだと思い、精神的にも肉体的にもキツイ練習ばかり行いました。」

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そして迎えた2014年7月25日。年間グランドスラムの第二ラウンドが始まった。

上記のような内容の濃い練習をしていたことを知っている誰もが、楠瀬の完走を疑わなかった。私自身、楠瀬が相当上位でゴールすると思っていた。しかし、現実はそう甘いものではなかったのだ。レース状況について楠瀬は語った。

「スタート40分前に給水所に行こうと思ったら、みんな並ぶ準備を始めていたので慌てて私も整列待ちを始めました。これがいけなかったです。給水しなかったのでスタート前には既に喉が乾いている状態でした。スタートして最初の給水で水を2杯飲んだけど渇きは癒えず...。中の茶屋で3杯飲んでも癒えず...。まぁ走りには影響ない!と思っていましたが、途中抜かされた知り合いから「練習頑張ってきたのだから!!」とか「大丈夫?」と声を掛けられて、ようやく自分のペースがひどく落ちていることに気付きました。馬返し(0合目)到着は予定時間(前年のタイム)の3分後でした。

そして、トレイル区間に入ると道が狭くて、ここまでのタイムが遅かったので渋滞していて抜かしたくても抜かせない。馬返しの給水でやっと元気になったのに、思うように前に進めず、佐藤小屋(5合目)通過は予定の9分遅れとなってしまいました。やはり渋滞が痛かった。そして登山エリアに入って『よし!巻き返そう!』と気合いを入れたけれど、ここから6合目までも細い道でまたまた渋滞してしまいました。

6合目から7合目辺りまでは、たまに渋滞する所もあったけれど、比較的スムーズだったので、岩場も人の行かない所からガシガシ登りました。
しかし、序盤に喉の渇きから水を大量に飲んでしまったことで富士登山競走1_1.jpgのサムネイル画像
ジェル等の食べ物を全く受け付けなくなってしまい、ここまでに口にしたのは飴2個ときゅうりの塩漬け1切れだけだったのでエネルギー切れでフラフラしてきました。

山頂が見えてきても、たどり着くイメージが湧かないしドンドン抜かれていきました。9合目辺りでついに制限時間15分前になりましたが、山頂はまだまだ遙か彼方。あんな所まで15分で行けっこないよ~って、涙がいっぱい出てきたけれど、周りの人に『ギリギリ間に合うから、足を止めないで!』と言われたので、もう必死でした。最後の階段は、這いつくばり、1段1段しがみ付きながら登りました。そしてついに山頂に辿り着きました。タイムは4時間25分55秒と制限時間の4分前でした。」


富士登山競走4_1.jpg山頂コースは、馬返しまでのロード区間をある程度のスピードで走らないとその先のトレイル区間で大渋滞に巻き込まれるという話はよく聞く。楠瀬はスピードもあるし、野辺山ウルトラマラソンで途中までトップを走るくらい上りも強いのだから、本来の走りができれば渋滞に巻き込まれないタイムで馬返しに到着するであろうが、予定通り行かないのがレースなのだろう。しかし、エネルギー切れになりながらも制限時間内にゴールしたのは絶対に年間グランドスラムを達成したいという彼女の強い気持ちからであろう。

続けて、楠瀬はゴール後の気持ちをこう語った。

「完走できた喜びで涙が溢れてきました。完走できて、本当に本当に嬉しかったです。正直、完走は余裕で、4時間切りを目指そうと思っていました。富士山をナメてました。小さなことが大きなダメージになる。良い経験になりました。このレースを走るために5回試走をし全部悪天候でしたが、レースの日の山頂は快晴でした。富士山山頂から見る景色は素晴らしく、富士山からのご褒美は本当嬉しかったです。」

< 第16話へつづく >

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