ページ内を移動するためのリンクです。

【トレイルランナー】上田瑠偉さん②

 < 第2話 >

上田瑠偉<第1話>を読む


私(筆者)もハセツネを完走したことはある。過去に100マイルの上田さん4_1.jpg
UTMFや110キロの信越五岳なども走っているが、まだトレイル初心者の頃にハセツネを走ったことから苦しかった記憶しか残っていない。登山コースとしても厳しい急傾斜を登ったり、岩がゴロゴロしていて転倒したら大怪我する急斜面を下ったり、鎖に掴まって移動するような危険なセクションもある。

その71.5キロのコースを7時間01分13秒で走りきるということは、平均すると1キロ6分ペースなのだ。走ることができないような箇所も多い中で平均して1キロ6分以下で走るのだから想像を絶する走りであり、大会記録を18分短縮したことがどれほど大変なことかはトレイルランをしてないランナーには想像もつかないであろう。

参加者のレベルが高くないトレイルレースにトップクラスのランナーが走ればそのくらいの大会記録更新はよくあるが、ハセツネは歴史も長く、日本のトレイルランを牽引してきた強いランナーたちが大会記録を僅かづつ更新してきたのだ。初めて8時間を切ったのは2006年のことであり、7時間30分を切ったのでさえ2012年のことである。

また、ゴール付近は下り基調でありスピードは1キロ4分前後に上がるだろうから、18分というのはこれまでの大会記録を距離にして4キロ以上引き離してゴールしたということであり、まさしく異次元の走りだったのだ。


上田さん6.jpg今回ランニングタウンで上田を取り上げたのは、ハセツネで驚愕のタイムを出した"トレイルラン界の期待の星"であるという理由だけではない。上田に注目したのは、彼が21歳の大学生であり、中学時代に都道府県対抗駅伝で当時の大会記録で優勝したほどのエリートランナーでありながらトレイルランに挑戦しているからである。

上田は高校駅伝の名門校である佐久長聖高校のキャプテンを務め、早稲田大学に入学した。高校時代に陸上長距離をやっていた選手の多くは箱根駅伝を走ることを夢に描きすべての情熱を注ぐ。当然ながら箱根駅伝を走れる選手は非常に少なく、夢破れて陸上競技を止める選手も多い。また、箱根駅伝を走ることができたランナーであっても、達成感から大学卒業とともに競技を引退することは珍しいことではない。

またウルトラマラソンやトレイルランの参加者の平均年齢は40歳を超え、40代のランナーが優勝することも珍しいことではない。中には、5000m13分台や14分前半の記録を持つスピードランナーもいるが、多くは実業団を引退した後に参入する。上田のように、20歳でトレイルレースに初挑戦するランナーは非常に少ない。加えて、トレイルランニングを始めたことで彼の5000mのタイムが面白いように伸びているというのも非常に興味深い事実である。

上田は、現在の箱根駅伝偏重の陸上界に一石を投じたのだ。箱根駅伝を走るために走るのではなく、走ることが好きだから走っているのだ。また、同級生たちが箱根駅伝を目指している中、上田は世界の舞台で戦うための準備をしている。もちろんオリンピックを目指す学生もいるだろう。しかし、舞台はオリンピックだけではない。彼の視線の先にあるのは、世界のメジャーなトレイルレース、スカイレースの舞台で世界の強豪と真っ向勝負し、チャンピオンになることであろう。現在同好会に所属する上田は、"同好会の星"として同年代のランナーに勇気と希望を与える存在である。

次号から、上田がなぜトレイルランニングに挑戦することになったのかを紹介していく。

< 第3話へつづく >

  • あなたのRUNの前に。ランニング時のコンディションをサポート 持久系アミノ酸BCAA配合【Amino-Value】大塚製薬の公式通販『オオツカ・プラスワン』 通販限定商品も!ご購入コチラ