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輝く女性ランナーVOL.10 湯川千穂 ➄

<第5話> 6週連続レース出場の行方


2度のロードレースを経験した湯川は、秋のマラソン大会から積極的に参加してみようと考える。「どの大会に出場しようか?」そのプランを立てることが楽しくて「気がつくとエントリーしていた」というほど夢中になるのだ。空いている週末がマラソン大会で埋め尽くされていくと、6週連続のエントリーとなってしまうところが、湯川らしいと言えば、湯川らしい。さあ、どうなっていくのか!?

南房総.jpg

増していく湯川らしい"彩り"

2度目のロードレースとなった柏の葉キャンパスマラソン大会を走り終えて、湯川は「練習は嘘をつかない」という言葉の意味を実感していた。初マラソンの時よりも走るボリュームを増やして準備した結果、再び4位に入賞。同じ4位でも、ある意味で価値は違う。それは、自らの意志で申し込み、トレーニングを積んで走った初めての大会だからである。

努力したことが結果として表れることの達成感と充実感で満たされる快感。何よりも、自分自身の変化が当時の湯川には、嬉しくてたまらなかった。失恋で一度は黒く塗りつぶされたかのような心のキャンパスがランニングによって白さを取り戻す。そして今度は、レースを目指して頑張ることで、自分色に彩られているような実感があった。それが、柏の葉"キャンパス"マラソンというのは偶然にしては、出来過ぎか!?(うぅっ駄洒落だ・・・)。

さらなる彩りを追求する湯川の行動力は勢いを増していくわけで、前述の通り、6週連続のロードレース大会に挑むことになる。どうして、ここまでランニングにのめり込むのか、湯川自身でもよくわからない。

心揺さぶられるランニング

テニスは、対戦型の球技スポーツ。勝つか負けるかしかない。自分の体力を高めても、技を磨いたとしても、勝敗の行方は対戦相手の技量やタイプに委ねられる。相手の実力を分析し、出方を伺い、予測し、次の次の手までも瞬時にシュミレーションする必要がある。だからこそ、面白いわけだ。

レース後食事1.jpg

その"面白さ"をより味わうためには、瞬発力、スタミナ、ショットの精度を向上させるしかない。ただ、トレーニングは見えない相手を想定するしかなく、自分の技を量る物差しもない。それが、球技スポーツの特徴だ(ボールのスピードやスピン量は測れなくもないが)。

その点、ランニングはわかりやすい。1人でもできる。順位は別だが、能力もタイムで表れるので、客観的と言える。苦しみを乗り越えた先に待つゴールでは、単純な答えを出してくれるのだ。全て自分次第であり、結果が良ければ、さらに爽快感や達成感が増幅する。

テニスとはまた違う刺激が、湯川の心をグイグイと揺さぶってくる。

湯川は、この単純なスポーツを無性にしたくなっていった。けれども、1人で練習する湯川は、答えを高める方程式を当時は何も知らない。「1+1のような走った距離の足し算」「5分ペースで〇〇キロ走れたというような掛け算」程度だったことだろう。それでも(いや、だからこそ?)「答えは単純だけど、奥が深そう」と、自分を引き寄せる"何か"を心と身体で感じるのだった。

湯川は当時を振り返り「走る前の朝食の摂り方も、走り方も、練習の方法も何もかもを知らなかった」と語るほど、トレーニングでは数々の失敗を重ねている(6週連続のエントリーもその一つ?)。けれども、ただただ楽しかった。「自分が打ち込めるものを見つけられた」「自分が頑張れることを知った」喜びに溢れ、父親にも時々報告した。その度に、父親は共に喜んでくれた。父親が喜んでくれることも、彼女の満足度を高める大きな要因なのである。

6週連続のレース

暑い夏もフラフラになりながらも何とか走った。そして、迎えた秋。手始めに、9月のハーフマラソンを走るも、1時間38分にとどまる。「朝食が消化不良で、尋常じゃない腹痛に見舞われ、参考外ですよ」と気にしない(意外と図太い!=このあたりはテニスで鍛えられたからか!?)。まさしく消化不良のレースだったわけだ(またしても駄洒落・・・)。

そして、いよいよ!6週連続のロードレースが始まる

<出場した大会(=全てハーフマラソン)>


10/27 あつぎマラソン1:32:58

11/03 清川やまびこマラソン1:33:12

11/10 246ハーフマラソン1:31:48(一般優勝)

11/17 川崎国際多摩川マラソン1:31:34(優勝)

11/24 丹沢湖マラソン1:29:20(2位)90分切り

12/01 はだの丹沢水無川マラソン1:28:04(2位)

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見ていただければわかるが、驚くことに、11月3日の大会でタイムを少し落としただけで、走る毎に記録を伸ばしている。しかも、ハーフマラソンで難なく1時間30分を突破。6連続目の1時間28分という記録は、半年前の柏の葉キャンパスマラソンから1kmあたりで23秒も速いのだ。過去の自分を1kmで100mも後ろに置き去りにするほどのパフォーマンス・アップとなる。(110%の伸び率って凄い!)

タイムが伸びた要因は何なのだろう?と投げかけてみた。すると湯川は、「練習はジョギングしかしていなかったので、レースがポイント(スピード)練習になっていたのだと思います」と。確かに、仕事が忙しい人は、週末の練習を手厚くするしかないわけで、こんなやり方もありなのかもしれない(が、さすがに無理があるんじゃないの!?と感じる)。

6週連続②.jpg

その後も順調に記録を伸ばす湯川は、翌年の4月に、東日本国際親善マラソン(ハーフマラソン)で準優勝し、1時間26分13秒をマークするのだが、この大会で優勝した女性が1時間22分台で走り、その速さに衝撃を受ける。(まだまだ素人の部類なのだから、衝撃を受けなくてもいいと思うのだが・・・)負けず嫌いの湯川は「もっと練習しないと!?」と思うわけだ(もはやアスリートランナーである!?)。当然、練習はさらに熱がこもっていくことになる(これも巡り合わせ)。

待ち受けていた落とし穴

ここに、独学ゆえの落とし穴が湯川を待ち受けていた。初めての故障(ケガ)を引き起こすのだ。内転筋(太ももの内側)が痛くて走れない。安静にしていると問題ないが、走ると痛む。走ることを休んで、「もう治ったかなあ?」と期待を込めて再び走り出すも痛みが再発する。これの繰り返しで、この穴(故障)からなかなか抜け出すことができない。

理学療法士.jpg

そこで、理学療法士である湯川は、行動を起こす。職場を巻き込むことは本意ではなかったが、職場を最大限に利用することにした(表現は悪いが、この場合は仕方ないか!?)。上司に相談して、仕事が終わった後、連日、走りを見てもらったのだ。上司に指示される通りに走って数々のチェックを受けた。その結果、下された診断は、

グロインペイン症候群

この故障は必然ではないだろうか(素人が無謀なプランを実行したのだから、身体が悲鳴を上げたということだろう)。「勢いだけで上手くいく」ほど世の中は甘くはないのかもしれない(と湯川が思ったかどうかはわからない・・・)。

さあ、どうする湯川!?

-続く-

<第4話> ビギナーズラックのその後
<第6話> 新世界の扉~五感ランニング~

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