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【トレイルランナー】上田瑠偉さん⑥

 < 第6話 >

上田瑠偉<第5話>を読む


陸上同好会で純粋に走ることを楽しみながらも、競技力向上のための努力を重ねていた上田に大きな転機が訪れた。

2013年6月に開催された第1回東京・柴又100Kに同好会の同期と「10代最後の思い出作り」に、とエントリーすることを決めたのだ。この大会の100キロの部には2114人がエントリーしたが、10代のエントリーは僅か4人であり、その4人すべてが上田の同好会の同期なのである。ウルトラマラソンを走るランナーの多くは30代以降であり、20代も少なく10代でチャレンジするのは非常に稀である。

私(筆者)もこの大会を走り、折り返してくる上位選手の中に学生らしき若いランナーが暑さと身体の痛みに耐えながら懸命に走っていたのを記憶しているが、あれが上田だったと思うと感慨深い。この大会は初夏の開催であり、気温が非常に高いだけではなく、河川敷の土手を延々と走ることから日陰はほぼなく直射日光を浴び続ける過酷なレースであった。上田は、45キロ地点のエイドまでは1キロ4分半を切るペースで余裕を持って走ったが、暑さと身体の痛みから徐々にペースは落ちはじめた。95キロ地点を3位で通過した上田はラスト5キロで2人に抜かれたものの、初めての100キロマラソンを8時間15分33秒の好タイムで走り5位入賞を果たしたのだ。 

上田さん11_1.jpgこの大会の優勝は、以前ランニングタウンで紹介した24時間走日本代表の大島康寿選手の7時間31分05秒であり、2位は7時間45分52秒で走った沈在徳選手であった。沈選手は2006年のハセツネで初めて8時間の壁を破った(7時間52分24秒)伝説のトレイルランナーである。この沈選手と同じレースで上位を争ったのも何かの縁であろう。

 (参考)5キロごとラップ

 ※スタートラインまでのロスタイム 00:17
 22:02-22:05-22:13-22:05-
 21:57-22:19-21:54-21:43-
 22:17-34:27-24:23-23:47-
 24:28-25:57-26:34-27:05-
 27:03-25:28-27:44-29:45 <フィニッシュタイム 8時間15分33秒>

そして、このレースには招待選手としてアメリカのウルトラランナーのエイミー・スプロストン選手(MHW マウンテンハードウエア 女子2位,タイムは7時間50分32秒で1位と同タイム)が出場しており、その応援に来ていたMHWの関係者に上田はトレイルを走ってみないかと誘われたのだ。

上田は当時のことをこう振り返った。

「高校の時、『Born to Run』を読んでおり、いつかはこんな上田さん12_1.jpg
ふうに走りたいな~と思っていたので、声をかけられた時は、『このタイミングか』と思いました。ただ、やはり高校時代に競技力がなく、こんな自分でいいのだろうかという不安もありましたが、とりあえずやってみるくらいの軽い気持ちでいい、と言われたのでMHWさんにお世話になることにしました。」

10代の思い出として同好会の仲間と走ったウルトラマラソンで上田は大きなチャンスを掴んだが、このレースにエイミー・スプロストン選手が出場していなければこの出会いはなかったであろう。そして、上田をトレイルに導く女神となったエイミー・スプロストン選手は、この翌年上田が驚異的な大会記録を出した2014年ハセツネ(日本山岳耐久レース)の女子優勝者なのである。これも偶然のような必然だったのかもしれない。

上田が幸運であったことは間違いないが、上田が競技力を高めることを諦めずに一人努力していなければこのチャンスを掴むことはなかった。上田は自らチャンスを引き寄せたのだ。

< 第7話へつづく >

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