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弛むことなき旅路の果て 吉田香織に送るレクイエム②

yoshiada_title_1.jpg<第2話>始まり①~ステージの準備~


出会い

吉田が「何となく走り出した」そのきっかけは、彼女が昨秋に就職した創芸社での出会いにある。

yoshikiyoshida_1.jpgその人物とは、吉木稔朗。創芸社の社長である。61歳のエネルギッシュなオジさん(この表現は怒られるだろうか)は、「出版社の社長」を務めながら「市民ランナー」であり、「自称ミュージシャン」を名乗る文化を愛する人間。何より、吉田の最大の応援者なのである。

就職した経緯は省くが、「かおりくんには好きなように走ってもらいたかった」と話す吉木は、吉田が就職する前から、彼女の活気を呼び戻す「生きるモチベーション」を与えたいと考えていた。その想いから、ランニングに携わることができる仕事を創り、彼女の性格を見越し、社会人としての任務を課した。

吉田の仕事

吉木は、ランニングに関する雑誌とインターネット媒体『ランナーズパルス(RUNNERS PULSE)』の編集と発信、そして、ランナーズパルス主催のイベントの企画と運営を吉田に任せた。たまに注文をつけることもあったが、基本的に自由にやらせている。出会った当初から、そんなに信頼していたというのだろうか。理想の上司だ(と言ったら、社長に対して失礼かな)。

yoshidayoshiki_2.jpg「頭の良い子で、こちらの意図を読み取り、積極的に動く子だから、何も心配していなかった」と。このあたりは、人生経験豊富な社長の"直感"なのだろうか、それとも、ただ単に、吉田への"想い"が先行しているだけなのか。吉田のことを「かおりくん」と称し、彼女の話をするときの吉木の顔は、父親の顔そのものになる。仕事と愛情の狭間で揺れるオジさんを想像してしまう。何とも微笑ましい。

一方の吉田はというと、走りながらも仕事をこなし、吉木の期待に応える働きぶりを見せるようになっていった。第1回目のランニング情報雑誌「RUNNERS PULSE」出版を成功させ、様々な会社やクラブを巻き込んでのイベントを企画しては実行していく。

例えば「スポーツアパレルメーカーの試着」を兼ねたイベントや「スポーツサプリメントの試飲」をしながら走ってもらう、など。自分のところだけでない関係者のPRを考える配慮も忘れない仕事人ぶりを示す。それらを全て一人でこなしている。けっこう「やり手」。

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トレーニングの開始

肝心な"走り"はというと、仕事に右往左往しながらも、本格的にトレーニングを開始する。都内のいくつものランニングクラブを渡り歩きながら、練習の質を高めていく。コーチ不在でも練習の中身を濃くできる作戦を採るのである。どういうことかというと、各ランニングクラブで、週のスケジュールは違うので、練習会のパターンを利用して、各クラブの練習に参加させてもらうというもの。

EVOLU(エボーリュ)ランニングクラブで、基本動作を見直し、スピード強化から開始。質の高い練習ができる"カラダ"と"動き作り"から始める。リスタート(Re start)ランニングクラブでは、ランニングのベースを養い、加圧トレーニングも取り入れて、筋肉を戻すこともしている。それらの準備を経て、多くの男性ランナーが集まるアトミクラブで、質の高いトレーニングを消化する。理にかなった方法を複数のクラブで成立させているのだ。

yoshida_8.jpg自分で企画するランニングイベントも格好な練習場になる。(例:『みんなでどんだけ~インターバル!』=500m×42本) 速いグループを作り、そこで男性ランナーと競い合う。リスタート主催のタイムトライアルでは、ペースメーカーを務め、5000mを何本も走ったりした。そうやって、徐々に体力を戻していったのだ。名付けるとすれば、"複数のクラブの渡り歩き練習"。ここでも渡り鳥のような性質が垣間見える。

よく考えているし「緻密に計算してるのだろうな」と思ったが、当人は「てきとうですよ」と笑ってはぐらかす。「緻密」と「てきとー」、どっちが本当の吉田なのやら。真相は掴めないが、そのうちにわかってくるかな、とここは流しておく。

こうして吉田の舞台ステージは着々と整えられていった。


-続く-

<第2話>始まり
①~ステージの準備~|②~主演のステージ~


<第1話>から読む

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