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シューズ職人「三村仁司」を紐解く❸

 <第三話> シューズは芸術作品                       <第二話> シューズへの想い


 シューズは、大きく3つに分けて構成される。
 アッパー(靴底以外の上の部分)とインナーソール(中敷)、アウトソール(靴底)。

 アッパーは、生地や靴ひも、ラインで構成されるし、インナーソールは、布地とスポンジで形成され、
 ソールは、サンドスポンジとミッドソール、アウトソールと大抵は3層構造だ。
 これら全ての素材、硬度、厚み、大きさ、長さを調整するのが三村の仕事となる。

 三村がアディダスと契約した際に、記者会見で暴露された話だが、三村仁司⑩.png「アッパーだけで、
 三村氏の要望に応えるのに10回以上作り直した」と。それくらいこだわりがあるし、
 絶対に妥協しない三村。ソール(靴底)一つにしても、いろいろな材料を配合して
 何度も何度も試す。それを何十年も繰り返してきている。

 オリンピックや世界大会に向けては、現地に出向いて、道路の調査をする。「道路の素材」
 「硬度」「摩擦係数」「曲がり角の大きさや数」「アップダウン(起伏)の大きさと数」
 などできるだけ多くの要素を検証してくる。

 そうしてシューズ作成に取り掛かる。スポンジの配合を考え、厚さを調整し、摩擦係数から
 アウトソール(靴底)の表面の素材も選択しなければならない。代表選手が何人もいれば、
 その選手の走りの特徴(フォームや足首の柔らかさ)や筋力、筋持久力から最適なシューズを割り出していくのである。

 nakajiki.jpgとくに重視するのが、中敷(インナーソール)である。自分の足と他の人の
 足を見比べてみてほしい。土踏まずの形状など、人ぞれぞれ千差万別だ。
 シューズの機能を生かすも殺すも中敷次第なのかもしれない。

 1足作るのに、いったいどれだけの時間と労力を使うのか・・・。

 これでもまだ話は終わらない。次は『重さ』

 フルマラソンの場合、1グラムで消費エネルギーが、26キロカロリーも違ってくる。
 40グラム違うと単純計算で1040キロカロリー。フルマラソン完走に必要なエネルギーは、
 7000キロカロリー前後であるから、つまり、7分の1に相当するというわけだ。

 じゃあ軽くすればいいだろう、と安易に考えてはいけない。普段から履き慣れていなければ、軽すぎても
 リズムが狂う。軽くしようとすると機能が劣る。機能性と軽さ、この両立を果たすのは、至難の技。
 その間での「せめぎ合い」という最も大きな難題が待ち構えるのだ。

 アテネオリンピックで野口みずきが使用したシューズは、120グラムにも満たないという。
 手に持つと相当軽いと感じる重量。ジョギングシューズに慣れている人には、持っていることを
 感じさせない驚きの軽さだ。

 まだまだ続く、次は『大きさ』

 フィット性。足型を測定するのだから、別注品は、ぴったりフィットするシューズを作る三村仁司⑤.jpg
 のだろうと想像する人は多いだろう。それが違うのだ。測定する時間にもよるが、
 朝が小さくて、夜は大きくなるのがヒトの足(これは、ほとんどの人が知っている話)。
 測定する時刻から基準の大きさを求め、1~1.5cm大きめのシューズを作る。
 もちろんソックス(靴下)も計算に入れるが、敢えて大きく作っているという。
 足の機能が正常に働くこととマラソンの後半に足が膨張することを計算してのことだ。

 キツく締め付けることに慣れている人が履くと、気持ち悪くて走れないほど緩く感じる。
 
だが、面白いことに、大きめに慣れるとキツめのシューズは絶対に履けない。
 慣れというのは恐ろしい・・・。
 適正なものを使うことが人間の機能を最大限に発揮させるということを教えられる。

 まだ他にもあるが、もうこのくらいにしておく。

 驚くほどの要素が、シューズには盛り込まれていることがわかっていただけたと思う。
 トップアスリートのために作られる特注品は、ベルトコンベアの流れ作業で作られる製品とは、わけが違う。
 緻密な計算と感性が細部まで反映された手作りの道具であり、もはや、芸術作品の域であると感じた。
                                             (敬称略)

 続く>>      <最終話>涙の数の想い

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