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【トレイルランナー】上田瑠偉さん⑭

 <最終話> 世界の頂上を目指して

上田瑠偉<第1話>から読む方はこちら


上田瑠偉の紹介もいよいよ最終話となった。
第13話までは上田の足跡を紹介してきたが、最終話はこれからの上田を紹介する。

昨年優勝したハセツネ30Kで連覇を狙っていた上田であったが、ueda7_2.jpg
2015年3月の伊豆トレイルジャーニーのレース中に足首を捻挫したことから、回復を優先させるために4月のハセツネ30Kの参加を見送った。前年優勝した大会だから走りたい気持ちは強かっただろう。しかし、上田は目先の勝負にこだわりたい気持ちを抑えて、ずっと先にある大きな舞台での勝利を目指して欠場したのだ。また今週末(4月19日)開催の長野マラソンも欠場を決めている。

上田が長野マラソンというと違和感を感じる方もいるかもしれない。もちろん上田の主戦場はトレイルランだ。しかし、世界的に高速化が進んでいるトレイルランで世界の強豪と渡り合うには絶対的なスピードが必要だと上田は考えている。そのため、大学を卒業するまでにハーフマラソン66分台、フルマラソン2時間23分台を出したいと話した。私(筆者)の感覚ではもっと速いタイムで走れると感じたが、このタイムには意味があるのだ。上田はこう話した。

「トラック種目では同好会記録を更新しましたが、ロード種目でも同好会記録に名前を刻んで卒業したい。現在の同好会記録はハーフマラソンが67分16秒、フルマラソンが2時間24分14秒。そのタイムをクリアするために練習することで、トレイルの走りにも繋がると思っています。」

上田はトレイルを走ってトラックも速くなったと以前紹介したが、逆にトラックやロードを速く走れるよう練習すればトレイルも速くなれるのだろう。上田は「自分に何が不足しているのか?」そして「その不足をどうやって埋めたらよいのか?」を常に考えており、世界で戦うためには5000mを14分前半で走るスピードだけではなく、ハーフマラソンやフルマラソンのような筋持久力を必要とするスピード強化も必要と考えているのだ。もちろん、同好会の活動もトレイルラン同様大事にしている上田にとっては、同好会新記録を出すことは大きなモチベーションにもなるはずだ。

上田に5000mのタイムをもっと伸ばすつもりはないのかと訊ねたところ、
「5000mに特化した練習をすればまだ伸ばせますが、今の自分に必要なのはもっと長い距離のスピードですから5000mの自己ベストを出すための練習は当面考えていません。」と答えた。

上田は、参加することを楽しみにしていたハセツネ30Kや長野マラソンの参加を止めたのも先を見越した判断であるが、同様に今年は5000mではなくハーフやフルマラソンのタイムを伸ばしたいというのも先を見越した判断なのだろう。上田が目指すのはトレイルランの世界王者という極めて険しい頂上なのだ。

上田は今年多くのトレイルレースに参戦する予定だ。10月31日に開催される日本山岳耐久レース(通称 ハセツネ)で二連覇、そして夢の6時間台を狙うが、その前の8月24日にウルトラトレイル・デュ・モンブランのCCC(Courmayour−Chanpex-Chamonix 距離 100km 累積標高差5,950m 制限時間26時間)への参戦も決まっている。

ueda2_2.jpg上田瑠偉にこれからの目標について話してもらった。

「トレイルラン、スカイレースで世界の頂上が目指せる選手になりたい。スピードがあるうちにスカイレースでキリアン・ジョルネやフランソワ・デンヌに勝ちたい。そして、20代中盤まではハセツネの距離を主戦場にして100キロレースで戦える耐性をつけたうえで経験を積み上げ、UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)やUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)の100マイルレースで戦えるようになりたいです。まずはハセツネで前人未到の3連覇と6時間台を達成したい。そのためにも今年のハセツネで二連覇します。」

キリアン・ジョルネとはトレイルランナーには説明不要の世界王者だ。スカイレース(※標高2000m以上の登山道を走るレース)の絶対的世界王者であり、UTMBなどの100マイルレースでも圧倒的な強さを誇る世界的スターに上田は真っ向勝負を挑むと言うのだ。上田は続けた。

「そして、若い世代が僕の走りや活動を見てトレイルランをやってみたいと思われるような選手、応援されるような選手になりたいです。」

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上田瑠偉の紹介はこれで終わるが、上田瑠偉の物語はまだ始まったばかりだ。これからサクセスストーリーが待っているのかどうかは誰にも分からない。

ただひとつ言えることがある。

それは誰もが世界の頂上を目指せる訳ではないという事だ。上田は栄光と苦境を経験し、箱根駅伝を走る夢を諦めても競技力を高める努力を続けたことで世界の頂上を目指す切符を手に入れたのだ。切符を手に入れたからには世界王者という称号を勝ち取って欲しい。

これからも一人のランナーとして、上田瑠偉という素晴らしいランナーを応援していきます。

(インタビュー・文章 新澤英典)

− 完 −

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